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こんな悩みを抱えていませんか?

「墓じまい」という言葉を聞いたことがなくても、こんな悩みを感じている方は少なくありません。

  • 🏡 実家のお墓が遠くて、なかなか管理に行けない
  • 👨‍👩‍👧 子どもに将来のお墓の管理を押しつけたくない
  • 🧑 一人暮らしで、自分が亡くなった後のお墓が心配
  • 💰 年間の管理費が家計の負担になってきた
  • 🌿 兄弟がいないため、先祖のお墓を継ぐ人がいない
  • 📍 親が亡くなり、遠方のお墓をどうすればいいか分からない

これらの悩みの解決策の一つが「墓じまい」です。 お墓を撤去して遺骨を別の場所に移すことで、管理の負担をなくし、 子どもや家族への迷惑を減らすことができます。 このページでは、墓じまいを考えたことがない方にも分かるよう、 基礎から手順・費用・注意点まで解説します。

墓じまいとは

墓じまいとは、現在のお墓を撤去・処分し、遺骨を別の場所に移す(改葬する)ことです。 「廃墓」「改葬」とも呼ばれます。 お墓の撤去だけでなく、遺骨を新しい納骨先へ移す手続きまでをまとめて「墓じまい」と表現するのが一般的です。

近年、少子化・核家族化・地方から都市部への人口移動を背景に、墓じまいを選ぶ家庭が急増しています。 厚生労働省の統計によると改葬件数は2021年に約15万件を超え、過去最高水準が続いています。 「お墓を守ることへの義務感」より「残された家族の負担を減らしたい」という価値観が広まっています。

⚠️ 墓じまいは「先祖を粗末にする」ことではありません: 合葬墓・樹木葬・納骨堂など、移転先でも丁寧に供養を続けることができます。 「お墓の形が変わっても、供養の心は変わらない」という考え方が社会に定着しつつあります。

墓じまいの流れ(全6ステップ)

墓じまいには行政手続きが伴います。順序を間違えると手続きが滞るため、全体の流れを把握しておくことが重要です。

ステップ1:家族・親族と話し合う

墓じまいは一人で決めず、遺骨に関係する家族・親族全員と事前に話し合うことが大切です。 後から「知らなかった」「同意していない」という声が出ると家族間のトラブルに発展します。 「子どもや孫のためにお墓の管理負担をなくしたい」という趣旨を丁寧に伝えると理解を得やすいです。

ステップ2:新しい納骨先を決める

改葬先が決まっていないと手続きが進みません。 新しい納骨先から「受入証明書」を取得する必要があるため、最初に決めることが重要です。 費用を抑えたい場合は合葬墓(5〜30万円)や樹木葬、管理を完全に不要にしたい場合は散骨が人気です。 選択肢の詳細は新しい納骨先の選択肢をご覧ください。

ステップ3:現在の墓地管理者(寺院・霊園)に連絡する

現在のお墓がある寺院・霊園に墓じまいの意向を伝え、「埋葬証明書(納骨証明書)」を発行してもらいます。 寺院の場合はこの段階で離檀の話し合いが行われます。 離檀料については離檀料についてをご参照ください。

ステップ4:改葬許可申請を行う

現在のお墓がある市区町村の役所に「改葬許可申請書」を提出し、「改葬許可証」を取得します。 申請に必要な書類は①改葬許可申請書、②埋葬証明書(現在の管理者発行)、③受入証明書(新しい納骨先が発行)の3点です。 詳しくは改葬許可申請の手続きをご覧ください。

ステップ5:石材店に墓石の撤去・処分を依頼する

改葬許可証が取得できたら、石材店に依頼して墓石の撤去・処分・区画の原状回復を行います。 石材店は必ず複数社から見積もりを取ることをおすすめします。 撤去の際には閉眼供養(魂抜き)の法要を行うことが一般的です。

ステップ6:遺骨を新しい納骨先へ移す

改葬許可証を新しい納骨先に提出し、遺骨を移します。 新しい納骨先での法要(開眼供養・納骨式)を行い、墓じまいが完了です。

⚠️ 改葬許可証なしに遺骨を移動させることは「墓地、埋葬等に関する法律」違反になります。 必ず改葬許可証を取得してから遺骨を移動させてください。

費用の目安

墓じまいにかかる費用は大きく4つに分かれます。

費用の種類目安額備考
墓石の撤去・処分費用 10〜30万円 墓石の大きさ・区画の広さによって変動。石材店に見積もりを取る
離檀料 0〜30万円 法的義務なし。寺院への感謝の気持ちとして支払うケースが多い
閉眼供養(魂抜き)のお布施 3〜10万円 お寺に依頼する法要。宗派・地域により異なる
改葬許可申請費用 数百円〜千円程度 市区町村により異なる(無料の自治体もあり)
新しい納骨先の費用 5〜200万円 合葬墓(5〜30万円)〜一般墓(100〜200万円)と幅が広い
合計目安 30〜150万円程度 選択する納骨先・離檀料・墓石の大きさによって大きく変わる
💡 費用を抑える3つのポイント:
  • 石材店は3社以上から見積もりを取る(同じ作業でも5〜10万円の差が出ることがある)
  • 新しい納骨先は合葬墓・樹木葬・散骨を選ぶと大幅に費用を抑えられる
  • 離檀料は任意なので、無理のない範囲で設定する

詳しくは終活費用の目安と節約術もご参照ください。

離檀料について

離檀料とは、長年お世話になった寺院(菩提寺)から離れる際に支払うお礼のお布施です。 法律上の支払い義務はありませんが、慣習として支払うケースが多く見られます。 一般的な相場は3〜20万円程度で、法要1回分のお布施(3〜5万円)を目安にするケースも多いです。

⚠️ 高額な離檀料を求められた場合: 離檀料は支払い義務のないものであり、高額(100万円以上など)を強要されても法的に応じる必要はありません。
  • 消費生活センター(0120-797-188)に相談する
  • 弁護士・司法書士に相談する(初回相談無料の窓口も多い)
  • 「墓地・埋葬に関する法律」では改葬を不当に拒否することは認められていない

改葬許可申請の手続き

改葬は「墓地、埋葬等に関する法律」に基づき、市区町村長の許可(改葬許可証)が必要です。 遺骨が複数柱ある場合は1柱ごとに改葬許可証が必要な市区町村もあるため、事前に確認しておきましょう。

書類名取得先内容
改葬許可申請書 現在のお墓がある市区町村の役所 様式は役所またはHPから取得。遺骨1柱ごとに必要な場合あり
埋葬証明書 現在のお墓の管理者(寺院・霊園) 現在どこに誰が埋葬されているかを証明する書類
受入証明書 新しい納骨先 新しい納骨先が遺骨を受け入れることを証明する書類
改葬許可証 市区町村の役所(申請後に発行) これがないと遺骨を移動できない。新しい納骨先に提出する

新しい納骨先の選択肢

お墓の管理負担をなくしたい・子どもに迷惑をかけたくないという方に特に人気の選択肢を紹介します。

納骨先の種類費用目安特徴継承者
合葬墓(永代供養) 5〜30万円 他の遺骨と合祀。費用が最も安く、管理不要。霊園・寺院が永代供養 不要
樹木葬 10〜100万円 樹木・花を墓標とする自然葬。個別安置期間あり 不要
納骨堂 30〜150万円 屋内施設。都市部に多くアクセスが良い。管理費が継続的にかかる 施設による
海洋散骨 5〜30万円 遺骨を海に散骨。お墓が完全に不要になる 不要
自宅近くに新墓 100〜300万円 アクセスが改善される。ただし継承者が引き続き必要 必要

各選択肢の詳細は永代供養・樹木葬・散骨の選び方をご覧ください。

よくあるトラブルと対策

① 親族の反対

先祖代々のお墓を撤去することに感情的な抵抗を感じる親族がいる場合があります。 「子どもや孫がお墓を管理し続けることが難しくなっている」という現実を丁寧に説明し、 改葬先を一緒に見学するなど理解を得る時間を取りましょう。 「お墓をなくす」のではなく「みんなが管理しやすい形に移す」という伝え方が効果的です。

② 寺院との交渉が難航する

寺院によっては墓じまいに否定的な対応をとるケースがあります。 感情的にならず「後継者がおらず管理が難しい」という事実を冷静に説明することが基本です。 話し合いが難航する場合は弁護士・行政書士への相談も選択肢です。

③ 遺骨の身元が分からない

古いお墓には誰の遺骨か分からない骨壺が納められていることがあります。 改葬許可申請の際に「氏名不明分の扱い」について役所に事前確認しておくとスムーズです。

④ 石材店の追加請求トラブル

撤去後に追加費用を請求されるケースがあります。 見積書は原状回復・廃材処分費用まで含むか確認し、書面で契約することが重要です。

墓じまいのタイミング

墓じまいを決断するのに「正しい時期」はありませんが、 自分が元気なうちに進めることが最も家族の負担を減らします

💡 こんなタイミングが検討のきっかけになります:
  • 親が亡くなり、遠方のお墓を引き継いだとき
  • 定年後に将来の生活設計を考え始めたとき
  • 自分の終活・エンディングノートを書き始めたとき
  • 管理費の未払いが続き始めたとき(無縁墓になるリスクがある)
  • 子どもから「お墓の管理が難しい」と相談されたとき

終活全体の流れについてはステップ別ロードマップもご覧ください。 またエンディングノートに墓じまいの希望・改葬先を記録しておくと、 家族が迷わず手続きを進められます。

よくある質問

Q. 墓じまいをすると、先祖への供養ができなくなりますか?

そのようなことはありません。合葬墓・樹木葬・納骨堂など移転先でも供養は続けられます。 新しい納骨先での法要(開眼供養)も行えます。 「お墓の形が変わるだけで、供養の心は変わらない」という考え方が広まっています。

Q. 墓じまいはどれくらいの期間がかかりますか?

改葬先の決定から完了まで、早くて3〜6ヶ月、親族や寺院との調整が必要な場合は1年以上かかることもあります。 余裕をもって計画を立てることをおすすめします。

Q. 実家のお墓が遠方にある場合、自分で手続きできますか?

手続き自体は遠方からでも可能ですが、石材店との打ち合わせや寺院への挨拶などで 現地に1〜2回行く必要があります。 遠方の場合は現地の石材店や行政書士に代行を依頼するのも有効な手段です。

供養の希望を
エンディングノートに書き留めましょう

散骨・永代供養・樹木葬など希望を書いておくことで家族が迷わずに対応できます。