なぜ遺言書が必要なのか
遺言書がなければ、残された相続人全員が参加する「遺産分割協議」が必要になります。 協議が成立しない場合は家庭裁判所での調停・審判に発展し、 解決まで数年かかるケースもあります。 遺言書は家族への最後のプレゼントともいえる重要書類です。
特に以下のケースでは遺言書が強く推奨されます。 再婚・養子縁組・内縁関係・事業承継がある場合、 相続人が多い・関係が複雑な場合、 特定の人に多く相続させたい場合です。
遺言書の3種類と選び方
遺言書には主に3種類があり、それぞれ作成方法・費用・安全性が異なります。 一般的には公正証書遺言が最も安全で確実です。
| 種類 | 作成方法 | 費用目安 | 検認 | おすすめ度 |
|---|---|---|---|---|
| 自筆証書遺言 | 全文・日付・氏名を自筆、押印 | ほぼ無料 | 原則必要(法務局保管は不要) | ★★★(法務局保管推奨) |
| 公正証書遺言 | 公証役場で公証人が作成 | 数万円〜(財産額による) | 不要 | ★★★★★(最も安全) |
| 秘密証書遺言 | 自分で作成し公証役場で封印 | 数万円〜 | 必要 | ★★(実務ではほぼ不使用) |
自筆証書遺言の書き方
自筆証書遺言は法律上厳格な要件があります。 一つでも欠けると無効になるため注意が必要です。
全文を自筆で記載する
パソコン打ち・代筆・録音・録画は全て無効。財産目録のみパソコン作成が可能(2019年改正)。
作成日付を明記する
「〇〇年〇月〇日」と明確に記載。「〇月吉日」などは無効になる。
氏名を自筆で署名・押印する
本名で署名し、認印でも可だが実印推奨。押印がない遺言書は無効。
法務局の保管制度を活用する
法務局に預けることで検認が不要になり、紛失・改ざんリスクも防げる。手数料は3,900円。
公正証書遺言の作り方
公正証書遺言は公証役場で作成します。法的安全性が高く、死後の検認手続きも不要です。 内容が複雑な場合は司法書士や行政書士に原案作成を依頼することもできます。
遺言内容の原案を作成する
誰に何を相続させるかを具体的に決める。財産目録・相続人の情報を整理しておく。
証人2名を用意する
相続人・受遺者・その配偶者・直系血族・未成年者は証人になれない。司法書士・行政書士に依頼するケースが多い。
公証役場で作成・署名
公証人が内容を読み上げ確認後、遺言者・証人・公証人が署名捺印する。
定期的に内容を見直す
財産状況・家族構成の変化に合わせて更新する。新しい遺言書が優先される。
無効になるNG事例
- 全文をパソコンで作成した(自筆でないため無効)
- 日付を「〇月吉日」と記載した(特定の日付でないため無効)
- 押印を忘れた(押印がない遺言書は無効)
- 内容が曖昧で特定できない(「財産を子どもたちで仲良く分けること」は無効になる可能性)
- 認知症と診断された後に作成した(意思能力がないとして無効とされる可能性)
よくある質問
Q. 遺言書は何度でも書き直せますか?
はい、何度でも書き直せます。複数の遺言書がある場合、原則として最新の日付のものが有効です。 古い遺言書は廃棄するか、新しい遺言書で旧遺言書を撤回する旨を明記しましょう。
Q. 遺留分とは何ですか?
遺留分とは、配偶者・子・親など一定の相続人に法律で保障された最低限の取得割合です。 遺言書でこれを下回る配分をした場合、相続人から遺留分侵害額請求を受ける可能性があります。 遺言書作成時には遺留分に配慮した内容にすることが重要です。